彫刻のまち仙台

 昭和52(1979)年に仙台市彫刻のあるまちづくり基本構想が策定され、実施計画がスタートしました。仙台方式またはオーダーメイド方式として当時から注目された画期的な都市づくりの手法でした。以後、24年間にわたり市内の公共空間に彫刻作品が導入されました。また、宮城県内の各自治体でも彫刻公園や彫刻のある広場が増え、戦前からの野外彫刻作品を含めますと500点を数えるまでになりました。市民生活のなかに、美しい彫刻作品が計画的に設置され、徐々に彫刻のまち仙台がかたちづくられていきました。

 ところで、当時に生まれた方々は、既に壮年期を迎えています。新しい世代の市民ならびに若者たちに、「すでにある」野外彫刻作品のよさや楽しみを知っていただき、「身近にある」野外彫刻作品を自分たちの誇りとして、そして市民の共有財産である野外彫刻作品を大切にしていこうという思いが芽生えることを期待します。

 かって、観光や商用で仙台を訪れる人々に対して、官民が一体となり彫刻のまち仙台を積極的にアピールしてきたことに注目しました。「いつでも」、「自由に」、「身近に」みることができる、「すでにある」野外彫刻作品に思いをめぐらせ、仙台を中心に県内各地の公共空間にある彫刻作品の現状を把握し、その資料を整理したいと思います。
 第一段階として、彫刻作品とその修景を調査し、個々のデーターを確認します。次いで、データーの活用を検討します。子どもたちの課外活動に利用することもできますし、高齢者の方々にも無理のない範囲で散策を楽しんでもらうことも可能となります。家族連れの日帰りピクニックも楽しそうです。同時に、県外や海外からのお客様をもてなす手段のひとつとしても期待ができます。

 データーの収集や作成は簡単な作業ではありませんが、有志を募り現地調査から始めたいと思います。私たちのささやかな一歩が復興のちからとなることを願います。

 

タブロイド紙『彫刻/街景』の一部
タブロイド紙『彫刻/街景』の一部
発  行:
平成25年12月中旬
 
アプリーヨミウリ
編  集:
宮城の野外彫刻研究会
協  力:
阿部敬四郎ギャラリー
企画構成:
福助社中
 

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